任意保険

重大な人身事故の場合には強制保険で補償されている賠償額だけでは不足するほか、強制保険は物損に対する賠償に適用されない。こうした損害を補償するために任意で加入できる保険商品が各社から用意されていて、一般的に自動車保険あるいは任意保険と呼ばれている。例えば傷害に対する賠償は120万円を超える部分のみに適用され、物損に対する賠償は強制保険にその機能が無いので契約の上限までの全てを支払う。

保険期間は1年単位が多いが、長期や短期の保険もある。保険料率は車種の他に、運転者の年齢や運転者の範囲(その車を他人が運転するか、本人・家族 のみに限定するか、など)などの条件によって定められ、事故率や損害率といった危険度の高いグループほど高い保険料率となる。具体的には、若年運転者やス ポーツカーほど高い保険料率となったり、運転者を家族に限定するよりも不特定多数による運転の方が保険料率が高い。このほか、車両の安全装備(エアバッグ、ABS、衝突安全ボディ)や盗難防止装置の有無(イモビライザーなど)による割引制度がある。近年ではエコカー割引を行う保険会社も増えている。

日本では1997年よりリスク細分型自動車保険が認可され、主に外資系保険会社を中心に、放送(コマーシャル)や新聞などマスメディアを使った広告で展開している。ドライバーの年齢、性別、地域、車種、走行距離、運転免許証の色などによって保険料が違うのが特徴である。近年は、国内の既存保険会社が子会社を作って参入するケースもある。週末にしか車を使用しないなど、走行距離が極端に短いケースでは保険料が安くなるが、通勤など日常的に車を利用する地方部などで走行距離が伸びるケースでは、国内の保険会社よりも高くなることが多い。また、法人契約はできず個人契約に限られ、車種も一般的な乗用車(5・3ナンバー)や小型貨物車(4ナンバー)、軽自動車に限られ、キャンピングカーなどの改造車(特種用途自動車、いわゆる8ナンバー)は加入できない。個人取引の車両や、一部車種でも制限が加わる場合がある。さらに、他社の保険や他の共済から切り替える場合、割引等級が継承できない場合がある。

任意保険も自賠責と同様に、自動車1台につき1件が契約される。しかし、1台の車を共同利用していた時代とは異なり、国民の大多数が運転免許を保有 するようになって、家族で数台の車を使用する状況になると、「車ごとの危険度」の算定では実態にそぐわなくなってきた面がある。一例として、一番良く運転 するハイリスクドライバーが主に運転する車両に、そのドライバー自身でもなく、車検証上の使用者でもなく、同一家計・家族内での契約者にゴールド免許のペーパードライバーを据えることにより、契約上のリスクを低く見せる方法が考えられる。 近年の保険料自由化により、各保険会社が独自に、より細分化されたグループ(運転免許証の 色や家族構成、年間走行距離など)毎の危険度の算定や、複数保有割引の導入などが行なわれている。しかし保険料率の細分化は、事故率の高い若年運転者(運 転技術の未熟さに加え、青年期ゆえの無謀な行動に基づく危険な運転をしがちである、という理由による実証データ)の保険料の高騰となり、収入の低い若年層 の「無保険化」(若年層家計に占める実質負担率が高いことによる倫理崩壊リスクの一例)を招く危険も孕んでいる。また、ゴールド免許保持者の中には免許制度上のタイムラグにより、自動車保険のリスクとしての「無事故無違反」の条件を必ずしも満たしていない者もおり、リスク管理上留意する必要がある。

自動車を保有しないドライバー個人が契約できる、自動車運転者損害賠償責任保険(ドライバー保険)という保険商品も各社から発売されている。

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補償の種類

保険金は、相手に対する賠償として支払われるものと契約者自身の損害を補償するものとに分けられる。損害賠償は被害者や遺族への補償という性格上、 飲酒運転や無免許などのように運転者に重大な過失があっても、保険金は原則として支払われるが、契約者自身に対する補償は運転者に重大な過失があった場合 は保険金が支払われない場合もある。また、賠償保険以外の保険のみを単独で加入することはできない。

対人賠償保険、無保険車傷害保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、対物賠償保険、車両保険の6つに対人・対物示談交渉サービスをセットしたものを自 家用自動車総合保険(SAP)、車両保険を除いた5つに対人示談交渉サービスをセットしたものを自家用自動車保険(PAP)、それぞれ単独又は任意の組み 合わせで契約するものを自動車保険(BAP)という。しかし、近年の保険料自由化により、各損保会社とも新しい独自の商品の開発を行なっており、これらに よる分類があてはまらなくなってきている。

傷害に対する補償

対人賠償
自動車の運行、管理に起因して、他人を死傷させたときの損害賠償責任に対する補償。自賠責からの給付を超えた損害賠償額について支払われる。保険金額は、最高「無制限」まで加入できる。
無保険車傷害保険
事故に遭って死亡または後遺障害を負った場合で、相手が無保険などで賠償能力がない場合に、救済措置として自分が契約した保険から対人賠償保険相当額が支払われる。対人賠償保険に自動的に付帯される商品もある。
自損事故保険
補償の対象者が自損事故で死傷した場合など、自賠責保険などから補償を受けられない場合に自分で契約した保険から補償される。対人賠償保険に自動的に付帯される商品もある。
搭乗者傷害保険
補償の対象となる車に搭乗中の人が死傷したときに支払われる。人身傷害とは異なり負傷部位や症状に応じた定額が支払われる。「他人」を乗せていてケガをさせた場合は対人賠償保険から保険金が支払われるが、搭乗者傷害保険では運転者の家族などに対しても支払われる。
人身傷害保険(人身傷害補償特約)
上記の無保険車傷害保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険を包含する保険。歩行中の自動車事故による傷害も補償される。
相手との示談や入通院費用の確定、場合によっては加害者の捜索などに時間がかかるため、入通院費や当座の収入の確保など、早期に必要となる費用が 速やかに調達できない場合がありうる。人身傷害保険では、傷害の状況により、先に金額を算定して立替払いする。後日、相手や他の保険などから支払われる分 は、立て替えた保険会社へ支払われる。
搭乗者傷害保険が定額払であるのに対し、人身傷害保険は治療費や休業補償、逸失利益、慰謝料など、実際に発生した損害額を補償する。また、自分にも過失がある場合は、相手の保険からの補償額は過失相殺によって減額されるが、この保険では、自分の過失割合にかかわらず、補償額が保険会社からまとめて支払われる。

物への保険

対物賠償保険
自動車事故による賠償責任のうち、人的被害を除く部分に対して補償する。壊れた物品の弁償の他、それによって生じた休業損害なども含まれる。ペッ トなどの生き物の死傷に対する補償もこれに含まれる。保険金額は、最高「無制限」まで加入できる。免責金額をつけて契約することがある。
爆発物を積載した車や爆発物を取り扱う建物との衝突による類焼、人気競走馬を輸送する車との衝突、鉄道車両との衝突などに高額の賠償例がある。
車両保険
契約車両の損害に対する補償。自損事故に限らず、相手のある事故の場合でも過失割合によっては損害賠償の全額が相手から支払われない場合もあり、車両保険を利用する場合がある。車両の盗難や、風水害など、地震や津波、噴火以外の自然災害による損害に対しても賠償される。免責金額をつけて契約する場合と、保険料は高くなるが免責なしで契約する場合がある。
車両の損害額は、原則として車両の時価評価額で算出される。経年に応じて車両の評価額は低くなっていくため、車両の購入金額が全額補償されるものではない。また、これは車両自体の評価額であり、追加装備(後付のカーナビゲーションやアルミホイールなど)は含まれないため、事故によって追加装備が損壊しても、車両の評価額以上の保険金は支払われない。追加装備に対する補償も契約する場合は、それらの装備が追加された時点での内容を保険会社に申請し、追加の保険料を支払う必要がある。
地震や津波に関してはほとんどの保険商品では免責条項とされているが、一部の保険では保険料を追加することで地震や津波、噴火などの大規模自然災害による損害も補償範囲となる場合がある。多くの場合で地震や津波に対して補償されない理由は、リスク算定が困難なことや、欧米の再保険会社を中心に日本は地震大国を理由に再保険を事実上引き受け拒否している[要出典]ことによる。
相手確認条件付車対車衝突限定の車両保険(「車対車+A」)は保険料が安いが、相手に当て逃げされた場合や自損事故の場合には保険金は支払われない。

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